「卒業式のうた特集」
・『仰げば尊し』
・『蛍の光』
・『思い出のアルバム』
・『贈る言葉』（海援隊）
・『オレンジ』（SMAP）
・『花』（滝廉太郎）


思い出しながら、この日のいろいろを書き留めます。

いつものように、アンサリーの歌声を流しながら、「こんにちは〜♪」と登場します。
奥のリビングにたどりつくまでに、その場に座っている人には、ひとりひとり声をかけます。

調子がいい人。
反応がイマイチな人。
何か言おうとしてくれている人。
やりとりがピントが合わない人。

それぞれ元気そうで、ご機嫌で。
私もそれにこたえるように、元気に機嫌よく、言葉や笑顔を返します。

今日はいつもより調子がよさそうな人が多かったな。
気候が良くなっているせいかな。


ようやくリビング中央に。

あらためて、挨拶。
タイコをたたきながら、「さて、きょうはなにをやりましょうかあ〜！」と話をはじめます。

簡単は春のうたから始めたかな。

そして、３月の学校行事として「卒業式」について話します。


仰げば尊しのうたの歌詞をたどりながら、
１番の歌詞の後に、先生とのこんなシーン。
２番の歌詞の後に、同級生とのこんなシーン。
３番目の歌詞と後に、学校の建物や学校制度のこと。

そんな話をします。

卒業式の日に、みんなでこのうたを歌う。
すると、あちらこちらで声を詰まらせたり、鼻をすすったりする声が聞こえます。
このうたを歌うと３年間、６年間、この学校ともお別れだという気持ちが心に押し寄せます。
この歌が終わってしまうと、もうここにいるみんなと歌を歌うことはできない。
あたりまえにあった日常はもう一切戻ってくることはない。

そう思うと寂しくて、胸に悲しさが押し寄せます。
眉の間あたりがつーんとして、目頭に涙が溜まります。
こぼしちゃいけない。
そう思えば思うほど泣けてきて、涙は頬をつたいます。

隣の友達はそれを見て笑っています。
笑いながら、その友達も泣いてます。
抱きしめあいたいようなそんな瞬間。
歌詞の一言一言が胸に迫って。

やがて時間は過ぎて、最後のフェルマータのあと、歌が終わると卒業式はおわりです。

講堂の後ろの扉が開きます。

ふわーーと春の風がかたまりになって講堂に吹き込んでくる。

春風といっしょに、桜の花びらが舞い込んできます。


光溢れる外の景色を眺めると、はっと我に帰って、さあ、涙をふこう。あたらしい旅立ちだ。そんな気持ちになって、それぞれは握手して、旅立っていくわけです。。。



とかなんとか。

仰げば尊しのうたの解説は私も大好きです。
みんな耳を傾けて、いろいろと受け取ってくれています。


蛍の光の解説もそう。
これは歴とした卒業ソングです。
大晦日の歌ではありません。

『杉の戸を開けてぞ』
とは学校の門の扉です。
つまり、杉の戸をあけて、もう帰らない、これは学校の卒業を意味しています。

２番の歌詞の、
『止まるも行くも限りとても』
も在校生と卒業生のこと。

『幸くとばかり歌うなり』
贈りたい言葉はキリがないから、心を込めてあなたの幸せのためにうたいますよ。


そんな歌。


そして、『贈る言葉』。
このうたのすごいところは３番の歌詞です。

さようなら以上の言葉をあなたに伝えてから、
『遠ざかる影が人ごみに消えた』

相手はいなくなってしまいます。
自分の世界から相手は姿をなくしてしまいます。

『もう届かない贈る言葉』

別れはいつかやってきます。
さようならと伝えられない別れもたくさん訪れます。

人と人とは、一期一会です。
その日その日が、一期一会です。

相手に出会えた喜び、相手に感じた気持ちは、いつでも伝えておいてください。
いつでも相手とは心から向き合って、心の言葉を伝えることです。

いつかきっと、どんな言葉も届かない日が来てしまうのだから。


そんな説明を聞いていただいてから、この歌をかけます。


SMAPの曲をかけるのは、ライフゆうでの今年の企画ですが、今月は話の流れもありますので、「オレンジ」をかけました。

これもやっぱり、別れのうた。
別れる前に、気持ちをちゃんと伝えておかないとね。
毎日、毎日、表情とかいろんな方法で、相手への感謝や親しい気持ちを伝えてください。

そんな話をいたしました。


今月の曲が終わった後は、今月の紙芝居。

久しぶりの『たこやたこざえもん』。

誠実なたこざえもんさんさんと、決めたことに覚悟を持っているお嫁さん。
真面目な暮らしのあとに、幸福が訪れたといういいお話でした。




写真の象の折り紙は今回の訪問とは何も関係ありません。