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「助け、与える福祉」だけではなく、「助け合い、知り合う」福祉を目指します。
社会療法レクレーション「来てくれる教室」・ 一般社団法人「声をかける」代表理事 富永幸二郎のホームページ
富永のおと
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2022.9.1(木)更新

イキではありません。
ワクの話です。

心理学を大学で学んでワクの重要性を知りました。

心理学的なアプローチは、無制限でもなく、どこでもできるものではない、が基本です。

心理学的なアプローチをするときに、時間、場所、頻度、内容などにいつも一定の枠組みを持たせることによって、必要とされる結果に安定的に導くことができます。
それは、お互いの安全性の確保のためでもあります。
現代の心理学は統計学的な要素を多分に含んでいます。いや、現代そのものが、統計やエビデンス、治験の結果の全体のパーセンテージが大好きです。
それはまさしく枠です。
ワクチンのワクは枠とも言えます。
その枠は、強制されるものではなく、それぞれが利用できたり、選択できるものです。
選ぶか選ばないかという二択が、人間同士の摩擦の原因になりますが、その摩擦は自然なことでもあって、その良し悪しはさておきましょう。
いずれにしても、枠があることによって、無法にもならず、秩序の乱立にもならずに、安全で建設的な摩擦で済ませているともいえるでしょう。

踊りの型のようなものです。
もしくは、踊りでいうとお稽古場のようなもの。
急に踊りの話になりますが、繰り返し型を習って、その習得を軸にして、同じ空間一定の環境で、自由に個性を磨いていくこと。
そんなモデルケースが世の中のあちらこちらにあります。

ラジオ体操の会もそうです。
夏休みだから子どもはラジオ体操しましょう。
ラジオ体操だからスタンプを押しましょう。
朝6時半のNHKで日本全国で一斉にしましょう。
その枠組みにおさまることは、とても安心で、簡単で、気持ちがいいものです。

地域の集まりにも枠があります。
参加費は200円とか、マスクは持参でとか。
高齢期の過ごし方も枠があります。
趣味が必要とか、散歩を日課にしようとか、キョウイクとキョウヨウを大事にしようとか。

枠は役に立つこともたくさんあります。
でも、枠にがんじがらめな生活にはなりたくはありませんよね。
ましてや、枠以前に人間には幅広い個性がありますし、年齢とともに自分の身体も生活環境も劇的に変化します。枠は変わりますし、必要な枠もどんどん変化します。
枠との追いかけっこをしてしまい、枠に暮らしが支配され、枠からはみ出た自分を情けなく感じてしまいます。

そんなことが日本の高齢期にたくさん見受けられるような気がします。
寝なくてはいけない。だから睡眠薬を飲もう。
運動が大事。だから町内の体操に参加しよう。
血圧が心配。だから薄味でごはんを食べよう。

母親が一人暮らし。だから一日一回メールをしよう。
父親が家でぼんやりしている。だからなにか趣味を持たせよう。

どれも、正解ではあります。
でも、それを強迫的におこなってしまっていては人生の豊かさも楽しさもなくなってしまいます。

枠は大事で、便利で、大切です。
でも、自分のこころや環境も同じく大事で、大切です。
「枠」と「自分」のバランスが大事です。
どちらも同じだけ大切にして、どちらを優先することもなく、どちらも程よく取り入れること。
もしくは、「枠」との追いかけっこをしすぎていたら、ああ、もっと自由に、もっと自然に、もっと心のままに生きていいかもしれない。と思うこと。
マインドフルネスや瞑想の本を読んで、心と向き合う術や方法を知って実践してみること。
まては、「自分」がすぎてしまったら、ああ、もう少し枠に当てはまるような暮らしにしないと自堕落で不健康で不安定になってしまうな、と考えてみて、毎朝起きる時間は決めるとか、一日の日課を増やしてみるとか、少し自分に枠を与えてみる。

そんなバランスを自分で考えて、自分で選んで、自分で実行する、ことが大事ですね。


枠には頼っちゃダメです。
利用するものです。
枠が増えると、枠枠してしまいます。
でも本当はカタカナのワクワクじゃないとおもしろくありません。
枠は利用しながら、基本は自分の心です。自分の心が中心で、それを枠や社会の中に置く。そんな順番で、私は考えています。


ちなみに私が集まりをするときは、なるべく枠はつくりません。
自然な集まりの場をつくります。
でも、枠がないと人は集まらないんですね。
枠を作るから、枠を求めて人は集まるところがあります。
なので、まちピアノ、公民館開放、ラジオ体操、スマホ相談所、などのあまり枠にもならないような小さな小さなフックをたくさん作って、自然と人が立ち寄れるようなそんな場づくりを心がけています。
そこに人が止まると、そこに視線があつまります。視線が重なると、そこに人が集まります。
ゆっくりとしたコミュニティづくりですが、一本の木を育てるみたいにゆっくりと、ひと枝ひと枝、葉っぱの一枚一枚が、自然なスピードで、それぞれが伸びたい方向に伸びていってくれればいいなあと考えています。

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